交通事故の物損事故・人身事故で補償が違う?
これって、どういうことでしょうか?

-物損事故の疑問あれこれ-

交通事故の際、警察に届け出ると、後日「交通事故証明書」の交付を受けることができます。

この交通事故証明書には、人身事故と物件事故(物損事故)の2種類があり、警察への届出の内容に応じ、発行される交通事故証明書が異なります。

大きな怪我を伴わない事故では「物損事故」として取り扱われるケースが多く見られますが、本当にこれでよいのでしょうか?

ここでは、物損事故についての理解を深めながら、必要な救済を得るためのポイントを整理していきたいと思います。

◆物損事故の定義とは?◆

物損事故とは、人の死傷がなく、器物の損壊のみが生じた事故のことをさします。

器物には車両や家屋、電柱、ガードレール、縁石、フェンスなども含まれます。

物損事故と対になるものとして、人身事故が挙げられます。

人身事故は、人の死傷が生じた事故をさします。

この場合、同時に器物の損壊も生じる事が多く、その場合でも人身事故として取り扱われ、物損事故とはなりません。

逆に言えば、人の死傷が確認できなければ、物損事故として取り扱われることとなります。

◆物損事故から人身事故に切り替えられる?◆

「軽くむちうちっぽいけど、ケガもないし大丈夫かな?」

「相手は見た目ケガもないし、物損事故だったから一安心。警察とか面倒だし」

こんな時、警察に対して物損事故として申告する方も多いようです。

実際のところは、むちうちの症状が生じているため、人身事故として取り扱うべきなのですが、この場合では、警察や保険会社からは以後、物損事故として取り扱われることになってしまいます。

最初は痛みがなかったものの、後から痛みを感じてきた場合やなかなか痛みがひかない場合は、【人身事故証明書入手不能理由書】というものを警察に提出することで、物損事故から人身事故へ切り替え手続きを取ることが可能です。

◆人身事故に切り替えないとどうなるの?◆

●自賠責保険から治療費や慰謝料などの保証を受けられない可能性がある。

自賠責保険は、被害者の心身のみを補償する制度です。

そのため、物的損害だけの事故では、被害者の心身の補償は得られなくなる可能性があります。

●過失割合の証明が難しくなる可能性がある

警察が介入し、事故状況が詳しく記録される【実況見分調書】が作成されないため、過失割合などの証明が難しくなる可能性があります。

●人身事故なら受けられるはずの補償が受けられなくなる可能性がある

保険会社から軽微な事故とみなされ、治療の終了時期の判断や後遺障害の認定で不利に働くリスクがあります。

【加害者や保険会社から物損事故のままにしてほしいと言われることも】

加害者は道路交通法違反がない限り、物損事故であれば行政処分上無事故扱い(免許の違反点数の加点がない)となります。

また、故意に建造物を損壊した場合でない限り、刑事罰(罰金刑など)を受けることもありません。

そのため、加害者側から人身事故への切り替えをしないように依頼してくる場合もあるようです。

一方、被害者側としても人身事故への切り替えには、警察署などに行く手間もあるため、加害者側の保険会社によっては、人身事故への切り替えをしなくても、治療費や慰謝料などの支払いに応じてくれる場合もあります。

ただこれは、心身の補償について不利となるリスクがあるため注意が必要です。

加害者側の保険会社から、「物損事故扱いのままにしてくれれば、賠償額で考慮します」などという話を持ちかけられる場合もあるようですが、これにより賠償額が増える確約はなく、賠償の段階で「そのような話はしていない」とトラブルになるケースもあるようです。

いろいろな話に惑わされず、軽い症状でも物損事故のままにせず、診断書を警察に提出し、人身事故に切り替えておくのが、以降の補償を得る観点でもポイントとなるようです。

◆物損事故の取り扱いのままでも、自賠責保険が使える?◆

自賠責保険は、被害者の心身を補償するための仕組みであり、その他の物理的な損害は補償されません。

しかし、これは人身事故扱いでなければ補償されないということではなく、交通事故証明書上、物損事故扱いのままでも、【人身事故証明書入手不能理由書】という書類を添付すれば、自賠責保険に治療費・通院費を請求できてしまいます。

このことから、加害者側の保険会社が、物損事故扱いのままでも、事故とケガに因果関係があれば、自賠責保険は治療費や通院費の支払いに応じてくれる場合もあるのです。

◆物損事故における修理代は?◆

物損事故に遭ってしまった時、まず気になるのが車両の修理代という意見をよく拝見します。

実は車両の修理費などの「物」に関する損害は、自賠責保険では補償されません。

自賠責保険は、あくまで被害者の心身を補償するものであり、物的な損害は補償対象外となるのです。

※人身事故として、身体の機能を補完する物【メガネ、コンタクトレンズ、補聴器、松葉杖、義肢、義眼など】に損害が生じた場合には、自賠責保険で補償されます。

※カバン、スマートフォン、衣服、腕時計などの装飾品は加害者側の任意保険会社との示談交渉により、賠償金や修理費として補償されます。

相手方(保険会社)に車両の修理代の支払いを求めた場合、修理工場はどこになるのでしょうか?

実は自分で決めることができます。

相手方が任意保険に加入していれば、事前に修理工場を連絡しておくことで、保険会社に所属するアジャスターと呼ばれる担当者が修理工場の担当者と修理の範囲や金額について協議し、協定を結んだ上で、修理の範囲を決めます。

※アジャスターとは、自動車の損傷状態を調査し、損害額の認定を行う専門家です。

ただし、支払われる修理代は、あくまで事故に起因して損傷した箇所を修理するために必要となる部分に限定されます。

このため、事故以前に損傷していた箇所の修理が含まれる場合や修理費用が相場からかけ離れている場合などは、全額を支払ってもらえない場合があります。

また、被害者でも過失割合が認定されると、その過失割合分が差し引かれた修理費が支払われることとなります。

◆修理歴による評価損とは?◆

車両が修理され、一見元通りに見えても、事故歴があることから査定価格が下がるなどして、車両の交換価値が下落してしまうことがあります。

この車両を修理したことにより、交換価値が下落してしまったことに対し、それを補填するための「評価損」というものを、加害者(保険会社)に請求することができます。

◆物損事故でも休業補償を請求できる?◆

タクシーや運送用トラックなど、自動車の使用自体が仕事となる方もいらっしゃいます。

このような状況で物損事故の被害者となり、車両を修理に出している期間、仕事ができなかった場合でも、定められた書類を添付することで、自賠責保険に休業損害を請求することができます。

ケガのない物損事故でも、代車でも対応できない営業車を修理に出さざるを得ず、その間仕事の休業を余儀なくされた場合は、その損失を補填するための休車損害を請求できます。

◆まとめ◆

最初は痛みがなかったものの、後から痛みを感じてきた場合やなかなか痛みがひかない場合でも、物損事故から人身事故へ切り替えることができます。

物損事故の取り扱いのままでも、自賠責保険による救済を受けることは可能なケースもありますが、様々なリスクもあることから、人身事故に切り替える手続きをすることで、安心して心身の救済を得るとともに、経済的な救済を得られる可能性もあり、補償の範囲も広がるようです。

私たち医療機関スタッフは、常に【身体の救済】・【心の救済】・【経済的救済】を念頭に置き、患者さんが安心して治療に専念できる環境を作っていきたいと考えております。

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投稿日:2021年4月22日|カテゴリ:医療情報