交通事故治療の通院先はどう選ぶ?

 -交通事故治療に積極的な整形外科の選び方-

【通院先は整形外科と整骨院(接骨院)のどちらを選ぶ?】

交通事故に見舞われた際、整形外科・整骨院(接骨院)どちらで治療をするのがよいのかという疑問はあちらこちらで見かけます。

重要なのは、整形外科と信頼関係をしっかりと構築できている整骨院(接骨院)と整形外科を選ぶということです。

患者さんにとって大切なのは、交通事故のことをしっかりと理解したうえで、心身の治療と向き合ってくれる通院先であるかということです。

一般的には、受診した整形外科で、そのまま治療・通院するケースがほとんどです。

一方、医療機関を受診することで、様々な検査を通してその治療の必要性を確認し、そのうえで整骨院(接骨院)に通院することは問題ありません。

ただし整形外科を受診せずに、整骨院(接骨院)だけを通院していると、保険会社から治療の必要性、治療施術の有効性において信頼度が低いと判断される場合があるため、整骨院(接骨院)などで治療を受ける場合は、連携の取れている医療機関、病院を定期的に(少なくとも月に1度)受診し、治療が必要であることをしっかりと証明できるようにしておく必要があります。

【交通事故治療に消極的な医療機関がある?】

当院に通院されている患者さんの中には、「当院が2件目」という方もおられます。

そんな患者さんから、決まってこんなお話しをいただくことがあります。

「最初に言った病院で、首の痛みを訴えたのに冷たくあしらわれた」

「湿布を貼っておけば、そのうちよくなるから。と言われ、他には検査も治療もしてくれなかった」

「首や肩の痛みが強いのに、検査結果はどこも悪くないので、痛いはずがないでしょ?と言われた」

「全治1週間と言われ、治療を一方的に終了され、その後全くよくならない」

大変残念なことですが、「交通事故」と聞いただけで、不充分な対応をしてしまう医療機関が少なからずあるようです。

これはどうしてなのでしょうか?

実は交通事故治療を進めるうえで、医師に「苦手意識」を持たせてしまう要因が何点かあるのためです。

【医師が交通事故治療に苦手意識を持ってしまう要因】

・相手保険会社の担当者から、何度も治療状況の問い合わせがあることで、時間をとられてしまう。

・後遺障害の認定に必要な書類を記載する際、細かな症状の経過を判断したり、保険会社との事務連絡が多く、時間がとられてしまう。

・後遺障害認定をする際、自らの治療の結果、残ってしまった症状を認めざるを得なく、消極的になってしまう。

・慰謝料目的で受診し、症状を偽って通院する患者さんがいる

・交通事故後は被害者感情が強いイメージがあり、医師の症状に対する見解など、クレームに理不尽を感じてしまう。

治療をすすめるうえで、患者さんと意思との信頼関係は大変重要です。

保険会社は、医師の意見をもとにその治療の必要性を判断し、保険の適応を判断します。

その医師に、交通事故治療に対する「苦手意識」があると、早く治療を終わらせようとしたり、冷遇されてしまうという可能性があるわけです。

【通院先を選ぶポイントは?】

では、交通事故治療に積極的に取り組んでいる医療機関を、どのように見分ければよいのでしょうか?

選ぶべき通院先を、6つのポイントとして、以下の2つに分けて整理してみます。

1.受診前までの情報発信とご案内

2.受診してからの対応

それではそれぞれ見ていきましょう。

1. 受診前までの情報発信とご案内

<選ぶポイントその1>

地域で開業している整形外科(クリニック)を選ぶ

大学病院などの大きな病院は手術が必要な方など、緊急性の高い治療が主体となります。

そのためリハビリ室は、手術後の入院患者さんを治療することに使用され、外来患者さんはほぼ利用できなくなってしまいます。

交通事故治療での通院は、外来通院がほとんどですから、緊急性がない限り、大きな病院では、入院患者を優先するためその場での対応で終わってしまうケースが多くなってしまうわけです。

一方で、地域で開業している整形外科は、入院など緊急性が少ない患者さんを治療することが主体であるため、交通事故によるむち打ちや各関節の捻挫、手術を必要としない骨折など、リハビリを含めた治療を最後まで継続して受けることができます。

また、大学病院などに比べると、医療スタッフと患者さんの距離感も近く、交通事故を受けたことによる様々な悩みも相談しやすくなります。

ここで大切なポイントとなるのが「整形外科」の専門医がいるかということです。

交通事故後の診療は、外傷によって起こすものがほとんどですから、担当医の専門が整形外科であることは、交通事故と症状の因果関係を専門的見地から結び付ける観点で重要な要素となります。

<選ぶポイントその2>

ホームページに交通事故治療に関する情報が

詳しく掲載されている医療機関を選ぶ

ホームページの診療欄に

・交通事故によるむち打ち、各種捻挫、打撲、骨折と単に表記してあるだけではなく、交通事故によるケガの特徴と説明

・クリニックの治療方針

・交通事故に関する手続きの流れ

・交通事故治療開始から後遺障害手続きまでの流れ

など、解りやすく情報提示がなされている医療機関を選んだ方が安心です。

基本的にホームページに交通事故治療の情報が多い医療機関は、交通事故治療に力を入れているところがほとんどです。

交通事故治療に消極的な医療機関は、そもそも詳しくは書かないはずです。

むしろ記載しているということは、その医療機関は交通事故の診療に経験と自信があるということです。

交通事故の診療は医師と患者さんという通常の診療の関係とは異なり、患者さんと保険会社の間を取り次ぐという性質を持ちます。

また、心身の治療を行うとともに、補償の問題が必ず伴います。

交通事故後はその通院費用、休業に伴う損害など、身体のけがを根拠にした補償を保険会社から受けることになります。

その補償を受けるための根拠となる情報が、担当医からの診断書や報告書・意見書となるわけです。

その医師が、交通事故治療に消極的であれば、その後の治療や補償の在り方にも大きな影響を与えるのは、容易に想像できます。

ですから、交通事故治療に積極的に取り組んでいる医療機関であれば、身体的、精神的、経済的な補償をスムーズに受けられるよう、情報発信しているはずです。

<選ぶポイントその3>

問い合わせに対して親身に対応してくれる医療機関を選ぶ

通院を希望する医療機関の候補が決まったら、まず「交通事故にあってしまい、治療を受けたいのですが…」と問い合わせてみましょう。

交通事故治療に積極的に取り組んでいる医療機関であれば、以下のようなことを質問されるはずです。

◆事故状況と症状の経過

◆警察、保険会社への連絡の有無

◆他の医療機関、整骨院の受診状況

◆自賠責保険による窓口負担の説明

逆に、これらの質問をほとんどされず、軽く済まされた場合は、それほど積極的には取り組んでいない可能性が高くなります。

交通事故治療に積極的に取り組んでいる医療機関では、まず電話対応が違います。交通事故による精神的なストレスを抱えてお問い合わせいただくことを、始めから想定しているため、院全体としてしっかりと対応できる体制を整えているからです。

この電話での問い合わせに対して、親身に対応できない雰囲気があるようであるとすれば、それは診療後も変わることはないでしょう。

また医療機関によっては、電話での初期対応に加えて、来院時にさらに詳しく問診することで、自賠責保険の制度をケースに合わせてアドバイスしてくれる場合もあります。

2. 受診してから治療開始までの対応

<選ぶポイントその4>

問診時の対応で選ぶ

希望する医療機関を受診すると、問診票を記載することになるでしょう。

その後、その問診票をもとに実際に問診が行われていきます。

重要なのはこの問診の際に、どれだけ親身に患者さんの意向を汲んでくれるかということです。

電話の対応とは違い、実際に患者さんと医療スタッフが目の前にして問診を進めるため、不安を抱えて来院いただく患者さんは緊張してしまい、自分では思っていることをすべてお話しできないことがほとんどです。

その結果、患者さん自身は最初に症状を伝えていたと思っていたのに、2カ月ほどたってから「首の痛みは取れてきたが、初めは弱かった腰の痛みの方が強くなってきた」と訴えても、「腰のことは最初にお話がなかったので、事故とは関係ないですね」と事故との因果関係を否定されてしまう事態になってしまうのです。

そしてこれは、交通事故治療に実績のある医療機関であれば、そのようなことにならないよう問診の時点で、患者さんが安心してお話ができる環境を作るとともに、より詳細な問診をするはずです。

問診は尋問ではないので、患者さんとのコミュニケーションを通して、以下の点を意識して対応に当たります。

◆患者さんの不安を意識したあいさつをする◆

不安で緊張している患者さんに対して、まずその緊張をほぐそうと「安心」をイメージできる挨拶を心がけています。

また、交通事故にあったことに対して、その不安に共感する言葉を添えてくれることでしょう。

◆患者さんの顔をちゃんと見て話を聞く◆

患者さんの表情やしぐさなどから、コミュニケーションを通して、どんなことに不安を感じているのかを把握しています。

患者さんは無意識の中で、痛むところに手を当てたり、つらいことには目を細めたりしますので、そのサインを見逃さないようにしています。

◆事故の状況と症状の経過を解りやすくまとめていく◆

事故当時の状況や現在の症状など、患者さんご自身ではいろいろと覚えていたり、感じたりしていても、それぞれがバラバラになってしまい、混乱していることがほとんどです。

そのため、事故と症状の因果関係が結びつかずに放置されてしまうことにならないよう、細かな確認をしていきます。

特に、後々の補償の問題とも直結するため、時間をかけてお話を聞いていきます。

◆交通事故を受けたことによる心と生活のお悩みを伺う◆

交通事故に見舞われて、傷つくのは身体だけではありません。心に抱える不安やストレス、生活や仕事、趣味活動への影響など、生活機能そのものの不安と向き合っていきます。

交通事故の補償には、休業補償や入通院慰謝料など、被害者の様々な損害を補償する制度があるため、ケースに応じたアドバイスをしてくれます。

◆問診の内容をしっかりと記録する◆

当たり前のように感じるかもしれませんが、この問診の内容がしっかりと記録されていないと、後々の補償の問題などにかなり影響を与えます。

ただ話を聞くだけなら聞き上手になればいいのですが、それだけでは交通事故治療においては不十分なのです。

<選ぶポイントその5>

必要な検査を進んでしてくれる医療機関を選ぶ

問診時に把握した症状と交通事故との因果関係を証明するのは客観的な検査結果です。

特に後々の補償にかかわる検査として、

・疼痛部位の画像検査

・神経学的検査

・筋力検査(握力など)

・知覚検査

・可動域検査

などの客観的な所見は、後遺障害診断の際に大きな影響を与えます。

したがって交通事故治療の経験が豊富な医療機関は、理由もなくこれをおろそかにすることはありません。

また、めまいや視覚異常、聴覚異常などの整形外科以外の症状と判断された場合には、専門の医療機関を紹介し、事故との因果関係の検討を図ります。

<選ぶポイントその6>

通院しやすい医療機関を選ぶ

交通事故治療で通院を希望される患者さんの中には、通勤しながら治療と向き合わなくてはならない方も、多くおられるはずです。

しかし、多くの医療機関は通勤時間と診療時間が重なり、通院そのものが難しくなる場合もあります。

このような場合、遅くまで診療している駅近や自宅の近所の通院先を探すこととになりますが、ここで整骨院に通院するか、医療機関に通院するか悩む方が多いようです。

しっかりと治療を進めるためには、どのような通院方法が良いのでしょうか?

では、ケースに分けて考えてみましょう。

◆整骨院だけに通う◆

医療機関に行っている暇もないし、けど痛むし…、近所の整骨院で治療してもらえばいいか?

冒頭でもお話しした通り、整形外科を受診せずに整骨院(接骨院)だけを通院していると、保険会社から治療の必要性、治療施術の有効性において信頼度が低いと判断される場合があり、保険会社から治療費の支払いを断られるリスクがあります。

◆医療機関だけに通う◆

原則として医療機関を受診し、交通事故と症状との因果関係を証明することは大切です。

そのうえで、症状に応じて適切に継続治療できる医療機関に通院できればこれが一番理想的です。

しかし、通勤と診療時間の都合がつかないまま医療機関だけの通院をした場合、仕事の休みを利用して1~2週間に1回の治療を継続したとして、保険会社から「通院回数が少ないので症状はあまり強くない」と判断され、早期に治療の打ち切りを打診してくるケースもあります。

症状もないのに無理やり回数を通院する必要はありませんが、痛みを我慢しながらも、それでも通院できず、早期に治療の打ち切りを打診されるというのは良い状況ではありません。

◆医療機関を定期的に受診し整骨院(接骨院)を併用する◆

医療機関で診断書を出してもらい、それを元に整骨院(接骨院)を通院することは可能です。

この場合、少なくとも1カ月に1回は、医療機関で定期的に症状の把握をしてもらい、現在の症状と交通事故との因果関係を経過として判断してもらう必要があります。

しかし、定期的に診察する医師がその経過を把握していないと、交通事故と症状との因果関係が崩れ、その後の補償に大きな影響を与えてしまう可能性があります。

また、医師から整骨院に対して、症状との因果関係についての連絡がなければ、治療内容にも反映されず、十分な治療効果を得ることができなくなるリスクがあります。

◆受診した整形外科から連携している整骨院(接骨院)を紹介してもらい通院する◆

定期的に医療機関を受診しながら整骨院(接骨院)の通院を希望される場合は、その医療機関と整骨院(接骨院)が密に連携していることが大変重要です。

整骨院(接骨院)から定期診察の都度、経過の報告があり、定期診察での結果を都度医療機関から整骨院(接骨院)へ連絡するという双方向のつながりがあれば、交通事故と症状の因果関係は保たれ、最後まで一貫した治療が可能です。

しかし、整骨院(接骨院)から整形外科へ症状の照会はあっても、整形外科医から整骨院(接骨院)へ都度連絡や支持を送る医療機関は非常に少ないのが現状です。

このため、保険会社によっては、医療機関と整骨院(接骨院)の併用を認めないところもあるようです。

原則として、医師が必要として整骨院(接骨院)を紹介すれば、医療機関と整骨院(接骨院)の併用は可能です。この前提として重要なのは、医師と整骨院(接骨院)が密に連携しており、その経過を共有していることです。

【まとめ】

一般的に、どんな大学病院の名だたる教授でも、博士号を持っている医師でも、交通事故治療においては、その経験と専門性を有している地域のクリニックのチーム医療には及びません。

一方で、交通事故治療に消極的な医療機関があることも、また事実です。

交通事故に見舞われた患者さん自身が、労を要して交通事故治療に積極的な通院先を探すというのは、大変残念な状況とも言えます。

その中で私たちは、交通事故に見舞われた方が、安心して受診し通院できる環境を地域の皆様に発信する責務があると感じています。

当院では、整形外科医と整骨院の連携を特徴としております。

交通事故治療を必要とする患者さんのニーズにこたえながら、患者さんの声と向き合い、「身体的」「精神的」「経済的」の救済を目指し交通事故治療のための、医療を提供し続けたいと思います。

交通事故のお困りごとなどあれば、いつでもご相談ください。

投稿日:2021年5月25日|カテゴリ:医療情報