交通事故で起こるむち打ち症の正体は? -その症状と治療法を解説!-

あやせ駅前整形外科・内科では今日も多くの交通事故患者さんが来院され治療を受けています。
その中でも「むち打ち症」の症状で来院される方は大変多く、その症状についても多くのご相談をいただいております。

今回は、ご相談いただくことの多い内容を中心に、「むち打ち症」の症状や治療法についてお伝えしていきたいと思います。

【「むち打ち症」の名前の由来は?】

むちうち症は、自動車の衝突などを起因として、頸椎に強い負荷がかかることにより起こる様々な症状の総称です。

強い衝撃によって頸部から頭部はムチの軌跡を追うようにしなるため、この名称で呼ばれるようになったとされています。

頭部の重さは体重の役10%とされており、男性が扱う13ポンドのボーリング球に相当します。
これを細い頸椎で支えているわけですから、座っている状態で強い衝撃が加わると、頭部を支えようとする頸椎にかなり強い負荷がかかることは、容易に想像できます。

また英語でむち打ち症は「Whiplash injury of the neck」と表記されます。
「Whiplash」はムチ先のしなやかな部分を意味し、「injury of the neck」は頸部の損傷を意味します。「whiplash」はさらに2つの言葉がつながっており、whip = ~をムチで打つ、lash = 激しく打つとなっていることからも、その衝撃の強さがうかがえます。

【「むち打ち症」は診断名ではない?】

むちうち症は、正式な傷病名ではありません。「ぎっくり腰」や「四十肩」のような一般的な俗称として取り扱われます。

交通事故ではその受傷起点をもとに、医学的根拠をもって「頸椎捻挫」「頸部挫傷」「外傷性頸部症候群」などと医師が診断することにより、初めて傷病として取り扱われます。

逆に、医療機関を受診せずに「むち打ち症」として治療していても傷病として取り扱われない可能性もあり、後々の自賠責保険への請求に不利益を被る可能性もあるため注意が必要です。

【むちうち症は後から出てくる!?】

むちうち症の特徴の1つに、事故直後に痛みや不調を感じにくく、後から症状を感じ始めるというものがあります。

これは事故直後に脳内が興奮状態となることで、アドレナリンやβエンドルフィンが分泌されることで、痛みや症状を感じにくくさせる仕組みに起因するとされています。

つまり、症状としては感じていないものの、起こることは起こっている可能性があるということになります。

事故後、数週間以上たってから症状を訴えたものの、期間が空きすぎていたために交通事故との因果関係を証明できないケースもあります。

【むち打ち症を疑う症状とは?】

事故後、肩が凝るなどの軽い症状はあったものの、後で症状がひどくなることもあるため、事故後は早めに医療機関受診を行い、事故との因果関係について相談することをお勧めします。

それでは交通事故に遭ってしまった後、どんな症状に注意すればよいのでしょうか?

交通事故をきっかけに、下記の症状を感じる場合はむち打ち症を疑う必要がありますのでチェックしてみましょう。

むち打ち症かも??チェック項目

①痛みの症状
・首の痛み(頭部の付け根、首の後面、前面、側面)
・両腕の痛み
・頭痛
・運動や仕事をすると痛みなどの症状が出てくる

②肩こりのような症状
・首や頭の重さ
・肩や背部の張感、おもだるさ

③首が思うように動かない
・首が回らない、動かすと痛い

④脱力感
・握力低下、足や指先のまひ
・こわばり感

⑤感覚の異常
・めまい、目のかすみ、目の疲労感
・手足のしびれや触った感覚の鈍さ

⑥その他
・吐き気、倦怠感、不眠症状、記憶障害
・天候に影響を受けるような体調の不良

【むち打ちの症状と代表的な医学的分類】

実は上記の症状は、医学的に「土屋の分類」として下記のような分類がなされています。

① 頸椎捻挫型
むち打ち症のおよそ7割りを占める病態で、頸椎の関節を構成する筋繊維や靭帯、関節包などが過度に伸張され損傷された状態です。

特徴的な症状として、首の後面や肩(僧帽部)の痛みを引き起こし、これが頸椎の可動性を悪化させることにより、持続的な頸部や肩、背部残りや張感を誘発します。

②神経根症状型
強い衝撃により頸椎の位置関係にゆがみを生じ、その歪みが神経の根元を圧迫したり損傷を与えることにより引き起こされます。

特徴的な症状として、圧迫や損傷をうけた神経支配領域において、知覚障害や疼痛、放散痛を感じるとともに、筋力の低下を生じることがほとんどです。

痛みのほかに、なんとなくだるいといった場合にも神経根症状型を疑うこともあります。

③バレー・ルー症状型
交通事故によって引き起こされる頸部を通る交感神経の過緊張や椎骨動脈の循環障害等の影響で発生するとされています。

交通事故から少し期間を開けて発症することが多く、自律神経にまつわる症状が特徴的です。

症状は頭痛、耳鳴り、難聴、吐き気、倦怠感、めまい、記憶障害など多岐にわたり他にも精神不安や食欲不振など、精神的な不調も多く出てくるのが特徴とされており、慢性化しやすいといわれています。

④神経根症状型 + バレー・リュー症状型
その名の通り、神経根型とバレー・リュー症状型の混合型です。症状もそれぞれが混在したものとなります。

⑤脊髄症状型
脊髄は脊柱管と呼ばれる背骨の中にある管の中を通る、脳と同等の重要な神経です。
それゆえに強い衝撃で脊髄が損傷されると、後遺症を残しやすくなるとされています。

特徴として、手足のしびれや感覚異常、こわばり感などが挙げられます。

ひどくなると歩行障害や排せつ障害などを引き起こします。

元来、脊柱管狭窄症や頚椎症など、脊髄が圧迫されやすい状況に合った方が、交通事故による強い衝撃を受けた後、発症しやすいといわれています。

ただしこの類型については、むち打ちというよりは「脊髄損傷」に分類されるため、むち打ちとしては取り扱われないことがほとんどです。

【一般的なむち打ち症の治療】
むち打ち症の症状には個人差がありますが、その症状により、社会活動や参加を制限される患者さんも少なくありません。そのため、治療は、まず痛みを抑え込むところから始まります。その後、適切な運動を取り入れながら活動量を調整し、社会復帰を目指します。

治療の流れは以下の通りです。

①炎症期
初期の症状に対する治療として大切なのは「消炎と沈痛」となります。
炎症部位では、血管の拡張と炎症物質を広げようとする反応が起こるため、これをいかに抑え込むかが治療のカギとなります。

アイシングや投薬を行うことで、血管を収縮させ炎症物質の拡散を防ぐほか、痛みを伝える神経の反応を遅らせる効果を期待します。

この時期は逆に温めてしまうと症状の悪化を招くため注意が必要です。

②増殖期(回復期)
頸椎周囲の損傷した組織が回復に向かい、細胞が増殖していく時期です。

回復には栄養が必要であり、血液がその栄養を運びます。
そのため温熱療法が有効とされ、比較的表面の血流を促す物理療法から、組織の奥に熱を伝えるレーザー治療や超音波治療も有効とされています。

この時期から痛みの範囲を見ながら徐々に動きを出していくリハビリテーションを開始していきます。

③成熟期(活動期)
再生した組織を強くすることで、損傷した部位の補強を目指します。

局所的かつ漸進的な運動を取り入れ、関節の可動性や筋力の向上を図ることで、受傷前の生活や仕事の状況に合わせたリハビリテーションを行います。

この時期は適切な運動量が必要であり、過度な運動は疼痛を惹起させるほか、逆に安静をとりすぎると循環障害を起こし、これが新たな疼痛の原因となってしまうこともあります。

【むち打ち症の症状改善の目安は?】
順調に回復が進めば、おおよそ3カ月程度で症状が改善する方もいらっしゃいます。

ただし、仕事をしながら治療に取り組む方や頻回に通院できない方については、半年程度治療を要する方もいらっしゃいます。

当然、交通事故の程度によっては、治療期間に幅があることも事実です。

交通事故治療は初期治療が非常に大切だといわれています。最初はできるだけ頻回に受診し、症状のコントロールに努めることをお勧めしています。

【万が一症状が残ってしまったら…?】
最善の治療を施しても、前述のとおり、交通事故の程度や症状によっては、症状が残ってしまうケースもあります。

むち打ち症の例でいえば、投薬やリハビリの治療を受けると、その時は良くなるけれど、少し経つとまた元に戻ってしまう一進一退の状況となった場合、「症状固定」として医学的に判断されることになります。

これらは一般的に「後遺症」として取り扱われ、その程度が自賠法施行令の等級に該当する場合に限り「後遺障害」として認定され、自賠責保険の補償対象となります。

この認定には医師による症状と交通事故の因果関係が医学的に証明される必要があるため、治療に当たる医師が把握していない治療期間(ご自身の判断のみで整骨院で治療するなど)がある場合、認定を受けることができなくなる可能性があるため注意が必要です。

【まとめ】
むち打ち症は首の症状に限らず、様々な症状を呈するのが特徴的と言えます。

しかしその症状も、医学的に交通事故との因果関係が認められなければ、自賠責保険からの補償を受けることすらできない可能性もあります。

症状と交通事故との因果関係をしっかりと評価したうえで、適切な時期に、的確な治療を、適度な回数受けることが交通事故治療には重要と言えます。

あやせ駅前整形外科・内科では、交通事故治療に力を入れております。

交通事故治療でお困りの方は、ぜひ、あやせ駅前整形外科・内科までご連絡ください!

投稿日:2022年8月31日|カテゴリ:医療情報